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介護業界の夜勤でよく使われる言葉の一つが「ワンオペ夜勤」。
利用者数が多くても、要介護度が重くても、看取りの入居者がいても「夜勤は1人」。
そんな職場は、今も少なくありません。
しかし、働く介護職員の側から見ると
・緊急時に誰にも頼れない
・休憩も取れない
・常に事故の不安との戦い
・命を預かっているという責任の重さ
など、身体的にも精神的にも非常に大きな負担を抱えています。
だからこそまず知ってほしいのは、「ワンオペ夜勤は違法ではないが、すべてが許されるわけでもない」という現実 です。
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そもそも“夜勤ワンオペ”とは？定義と仕事内容
夜勤ワンオペとは
夜間帯に、介護職員が一人でフロア・ユニット・施設全体の利用者のケアを担当する勤務形態
を指します。
具体的な業務内容を整理すると次のようになります。
・就寝介助
・排泄介助、オムツ交換、トイレ誘導
・定期的な巡視（安否確認）
・体位交換
・医療ケアが必要な利用者の対応（吸引・経管栄養などの場もある）
・利用者からのナースコール対応
・事故発生時の初期対応・記録・状況説明
・翌日の準備、洗濯物対応
・朝の離床介助、配膳準備、記録の整理
本来は複数人で行う内容を 一人で完結しなければならない のがワンオペ夜勤の最大の問題点です。
たとえば
・巡視中に転倒事故発生
・排泄介助中に別の利用者がコール連打
・看取りの入居者の呼吸変化への対応
こうした状況が同時に重なることも珍しくありません。
つまり、業務量が利用者数・介護度に対して見合っていないことが当たり前になりやすい働き方
ということです。
夜勤ワンオペは違法ではない。ただし“労基違反になるケース”が存在する
「ワンオペ夜勤って違法ですよね？」
という質問をよく見ますが、結論は次のとおりです。
→ ワンオペ自体は違法ではない
→ しかし条件を満たさないと違法になる可能性がある
具体的には以下のケースが問題となります。
休憩が取れない
労働基準法では
・6時間を超える労働 → 45分休憩
・8時間を超える労働 → 60分休憩
が義務づけられています。
しかし現実では
・コールが鳴り続けて休憩どころではない
・仮眠室がない
・巡視以外にも雑務が多く座る暇もない
など休憩が形骸化している施設が非常に多いのが実態です。
休憩を確保できていない場合は労基違反です。
安全配慮義務を果たせていない
夜勤帯に一人しかいないことで
・事故のリスクが著しく高まる
・監視が十分にできない
・認知症の徘徊者が複数いるのにワンオペ
こうした状況では、施設が職員の安全・利用者の安全の双方に対して配慮できているとは言えません。
事故が起きた際、責任を職員に押しつける施設もありますが、安全に働ける環境を確保するのは会社側の義務です。
夜勤ワンオペが「つらい」「怖い」「限界」と言われる理由
ワンオペ夜勤を続けている介護職員の声で特に多いのは次の3点です。
- 緊急時に助けを求められない恐怖
- 過労による体調悪化・睡眠障害
- 事故が起きた時に自分が責められそうという精神的プレッシャー
夜勤は、命を預かっている仕事です。
利用者の容体が急変することもある。
転倒事故が起きるかもしれない。
認知症の症状が夜間に悪化する場合もある。
この状況を“ひとりで”背負い続けるのは、どんなに経験があっても心身に負担をかけます。
そして、ワンオペ夜勤の怖さは問題が起きるまで誰も気づいてくれないことです。
限界を迎えるまで努力してしまう介護職員は少なくありません。
「この施設は危ない」ワンオペ夜勤の危険サイン
以下の項目のうち3つ以上当てはまるなら、環境改善が必要です。
・休憩がまともに取れない
・記録が翌勤務者任せになりがち
・ナースコール過多で巡視の時間が安定しない
・要介護度が重い利用者が多いのに夜勤1人体制
・看取りの利用者がいても夜勤1人成り行き対応
・新人でも夜勤に放り込まれる
・インシデントが多いのに改善が行われない
・夜勤後の明け、連勤が続く
・体調不良者が出ても「人いないから休めない」
一つでも思い当たるものがあると、疲労や不安が蓄積し、心身を壊すきっかけになります。
まずできる対処法（行動順）
いきなり辞める必要はありません。
しかし危険を放置する必要もありません。
- 夜勤者の休憩時間の確保について相談
- 利用者数・介護度に対して人員が不足している旨を提案
- 事故リスクについて具体的に報告（記録として残す）
- 改善案を出しても無視されたら「労働環境に改善の意思がない」と判断
ここまでやっても改善されないなら、あなたではなく「職場に問題がある」だけです。
夜勤で働きやすい職場の特徴
以下の特徴が当てはまる施設は、比較的働きやすい傾向にあります。
・夜勤者が複数配置されている（フロアごとに1人以上など）
・看取り介護の対応マニュアルが整っている
・記録は夜勤者一人に丸投げしない
・コール対応の分散やセンサーなど設備が整っている
・新人をいきなり夜勤に入れない
・夜勤明けの休息を重視している
・事故ゼロではなく「事故を防ぐ仕組み」を重要視している
夜勤の働きやすさは、給与よりも 職場の仕組み・考え方・人員配置 に左右されます。
夜勤を続けるべき？転職すべき？判断基準
次の質問に答えてください。
・毎日「事故が起きたらどうしよう」と不安になる
・夜勤明けの回復に時間がかかりすぎる
・寝ても疲れが取れなくなってきた
・感情が無くなってきた、ミスが増えた
・仕事の話をするのも嫌になった
一つでも当てはまるなら、疲労とストレスが限界に近づいているサインです。
介護の仕事が嫌いなのではなく、今の職場環境があなたの体と心に合っていないだけ です。
夜勤に悩む介護職が転職で失敗しないためのポイント
夜勤ありの施設はどこも同じではありません。
転職先を選ぶ時は必ず以下を確認してください。
・夜勤の配置人数
・休憩の取り方（仮眠室があるか）
・夜勤の新人教育の流れ
・夜勤者の平均在職期間
・夜勤明け翌日のシフト（連勤にならないか）
ただし、自分で応募すると「実際どうなのか」が分からず、入職してから後悔することも多いのが現実です。
だからこそ、介護の職場に詳しい転職エージェントに確認しながら動くのが安全 です。
エージェントは実際の労働環境や離職理由も把握しているため、求人票では分からないリアルな情報を教えてくれます。
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まとめ
介護の夜勤は、ただでさえ命を預かる責任が重い仕事。
だからこそ、「ワンオペ夜勤が当たり前」だと感じてほしくありません。
つらいと感じるのは弱いからではなく、無理な環境で頑張り続けているからです。
あなたが夜勤を続けたいなら、環境を整えればいい。
あなたが夜勤を辞めたいなら、やめてもいい。
あなたが日勤だけを希望してもいい。
介護の働き方は一つではありません。
今より安心して働ける環境を見つけることが、利用者の笑顔にもつながります。
最後まで読んで、頂きありがとうございました。
